ゴシック・ロマンス

「狙われている花嫁」ビクトリア・ホルト 再読による補足

「狙われている花嫁」リーダーズダイジェスト名著選集1963年

原題:Kirkland Revels  1962
以前の記事で、筋はけっこうかいていたました。
 
要約なせいか、とてもすらすら読めて、良い感じです。
ちょっとだけ、「嵐が丘」を思わせる部分もあります。
■補足
・キャサリン(キャシー)は、父が自分を愛していないと感じていて、(ディック伯父には可愛がってもらっていたが)、家にもあまり帰らなくて、ゲイブリエルとの早急な結婚、(未亡人になっても、しばらくロックウェル家のカークランド・レヴェルズ(レヴェルズは歓楽荘だとか)にいたのも)、実家で愛されていないと思っていたからです。
ゲイブリエルと出会い、仲良くなり。
結婚を申し込まれて(レディなので、まだ知り合って間もないと断り→ゲイブリエルはライバルがいるわけじゃないと安心。でもモーレツにアタック)
ゲイブリエルがちょっと臆病なところがある?と思いつつも。
求められる&長生きできない彼を幸せにする(実家を出ることができる)と、結婚を決心してしまう。
ゴシック・ロマンスとしてはありと思います。
 
キャシーと父の関係の秘密
実は、キャシーの母は死んでいたのではなく、キャシーは父の娘でもなかった。
父とキャシー(母)は幸せな結婚、娘も生まれるが、乳母の不注意で娘が事故死、
父は兄:ディック伯父の娘(ディック伯父の妻が娘を生んでなくなった)を、実子として育てることに。ディック伯父は船長なので、両親がいつもいる家庭で娘を育ててもらいたかった。
 
しかし、キャシー(母)は気が狂ってしまい。病院に。
父はキャシー(母)のいる病院の近くに屋敷を買い。定期的に面会に行っていた。
キャシー(娘)は、未亡人になって妊娠した事がわかるまでそれを知らなかった。
 
キャシーは、ゲイブリエルと出会った→彼に頼られるところから、しっかり者?とはおもったんですが、ゲイブリエルと一緒だと、気の強さは出ない。
でも、ゲイブリエルの従兄:サイモン(彼はキャシーが金目当てと思い込んで(愛しているように見えないから金目当て→ここは、突っ込みどころと思うんです)にはめちゃくちゃ腹を立てて・・・だから、お決まりの気の強いヒロインだった。
 
嵐が丘を思わせるのは、
キャシーの父が時々、荒野(?)で、キャシー戻ってきておくれと呼んでいたり、
体の弱いぼっちゃんと結婚したキャシーは未亡人になって、その従兄のちょっと、粗野なところのある(?)青年と結婚する
みたいなところです。
 
しかし、カークランド・レベルズは迷路のようになっていて、4つの部分からなっていて、
過去に、当主が4人の妻をもって別々に住まわせて、妻たちはお互い知らなかったとか・・・という(本当か?)伝説があるような、「迷宮」だったり、
短命の家系で、一族の者が飛び降り自殺をした露台があったり、まあ、不思議な一族ではあるわけで。
ゲイブリエルの自殺(?)の疑われないわけだ。
黒幕のスミス医師も、あんなにすぐにゲイブリエルを殺さなかったら、犯行はばれなかったかもしれない。(キャシーが妊娠したのでちゃらだけど)
サイモンの家系:レッドバース家は生き残ると丈夫らしい。
ミステリだと、真の犯人がサイモンだったりするんだけど。
抄訳のせいかもしれませんが、
キャシーが、「求められて結婚」:それは良し。
で、何なのここは?あ、ゲイブリエルが自殺
→普通ならそこで実家に戻るんだけど、戻らず。いやがらせが続くのでやっと帰る。
→と思ったら、妊娠したので、再度、屋敷に戻る(それ、ありか?)
→いやがらせの犯人を突き止めたい(身重なのに、まずくないか?)
 
キャシーが妊娠しているとは思えぬ、奮闘ぶりなのが、ちょっと気になりました。
結構、楽しく読めるのに、リーダーズダイジェスト本なので、ハードルが高くで残念です。

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「愛の回り道 ノエルの苦悩」ビクトリア・ホルト 再読による補足

「愛の回り道 ノエルの苦悩」 ヴィクトリア・ホルト 1997
Daughter of Deceit  1991
  
過去の記事で、敵役を「ギゼラ」と書いてましたが、「リサ」でした。
で、過去の記事に誤りとかあるので、補足。
 
■大枠
主人公:ノエル(母は女優:デジレ)は、幸せに暮らしている。
母が急死し、母のパトロン:チャーリー・クレヴァハムが後見人となってその屋敷に行き、
チャーリーの息子:ロデリックと相愛になる。 ロデリックの厳しいレディー・コンスタンスにも気に入られる。
しかし、ロデリックとノエルが兄妹とわかり、ノエルは、別な母のパトロン:ロバートを頼り、パリに。
失意のロデリックは衝動的に結婚(相手は、悪役のリサ)
普仏戦争で、ロバートは死亡、ノエルもロンドンに戻る。
 
母の遺品から、自分の実父は別にいる事が分かり、ロデリックとの愛が再燃。
ノエルは、ロデリックにつれられて、リサに離婚を頼むため屋敷に行く。
 
ケガで寝たきりのリサは離婚を承知しない。
→いきなり、リサが薬の飲みすぎで死亡。
 審問では、レディー・コンスタンスの証言が決めてとなり、事故死と。
周囲は色々と・・・
ノエルとロデリックが結婚して6年。
レディー・コンスタンスが心臓発作で亡くなるが、死の前に、自分がみんなの幸せのためにリサに薬をもった。(検死法廷にも手紙を出して)と告白。
 
ノエルの苦悩は(回り道)がやっと終わる。
===============
■気が付いたこと
・結構、晩年の作品なだけに、いままでのエピソード使いまわしている感はあります。
てんこ盛り。
・例によって、コーンウォールの石(踊る娘と呼ばれる):そこで、デジレとノエルの父は出会う。
・ロデリックと結婚すると周囲から思われていた、考古学に興味のある女性:フィオナ
(その祖母が、魔女っぽくて、孫をロデリックと結婚させたくて、ノエルに悪い予言をしたり、ノエルが穴に落ちるように画策したり)
・悪役:リサが、デジレの馬車にひかれそうになり→家に入りこみ→代役をねらって・・・(イブの総て 状態)
 
・ノエルがパリに渡って(普仏戦争で、ロバートが死んでとか)珍しく、「戦争」とか出てくるのにびっくりしました。
 
※再読で思ったのは、ノエルの印象が薄い。デジレの印象が強い。(原題の通りか)
 この話は、天真爛漫な、はた迷惑、デジレと、
 悪人全開のリサの二人の「迷惑」で構成されているんだと思いました。
 (ちなみに、人物紹介で、リサが「画策する」と書かれているのは、ちょっと、まぁ。でした。)
 
デジレ:
コーンウォールの田舎の出身(私生児:母は若くして死んで、祖父母に(罪の子として)いじめられ、早くに都会にでて女優になりたいと思う)
で、ノエルの父:エニスと出会い。愛しているけど、自分が望むのは女優の栄光→二人は「合わない」自分は田舎暮らしはできないし、エニスが都会に来るのも無理。
 
自分が死んだ時に面倒を見てくれるように、真面目でお金持ちのチャーリーを「父」ということにした。ロバートでも良かったけど、彼は外国人だから×。
 
ロデリックとノエルが、偶然出会うのも、デジレが、ノエルを使いに出したせいだし。
デジレは、他人も自分と同じという感覚の持ち主で、チャーリーの妻(レディ・コンスタンス)が、苦しんでいるとか考えもしなかったらしい。チャーリーは、ちょっとロンドンで遊んでいるだけ。
ノエルは、レディ・コンスタンスに、母が、奥様が辛い思いをされていると分かっていたら、チャーリーを奥様の許に送り返してました。と発言。
レディ・コンスタンスは、そんなノエルが気に入るんだけど。
(フィオナの祖母のワナ?で、二人で穴に落ちて、そこで励ましあって、話し合って、意気投合)
しかし、ロデリックとの恋愛部分はとてもあっさりしていて、母親のOKが出たら(?)、穴から助かったら、あなたを失いたくないと、プロポーズ
まあ、リサが(審問で事故死)死んでも、愛し合う二人は結婚しましたので、
「七人目の・・・」でメリオラが言っていた、愛していたらジャスティンを行かせはしなかった。は証明されました。
 
 

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「メンフレイヤ館の謎」ビクトリア・ホルト 再読による補足

これぞ、ゴシック・ロマンスというような作品。抄訳しかない(ものすごく探すの大変)ので、残念。
「メンフレイヤ館の謎」  リーダーズダイジェスト名著選集 28 1967年
日本リーダーズダイジェスト社
Menfreya in the Morning 1966(さすが、翌年に翻訳されている)
以前に書いた記事でけっこうきちんと筋を紹介していました。
 
コーンウォールの海辺に建つ館。
ちょっと離れて、海にある無人島から眺める朝日をあびるその館のすばらしさの描写がよかったです。ホルト作品にはコーンウォールの海辺がよく舞台になっていて、本当に好きなんだろうなと思いました。
 
■大枠
 
母を早くに亡くし、父の愛に恵まれなかった主人公:ハリエットは、コーンウォールの別荘で、隣人であるメンフレイ一族と親しくなる。
同い年の勝気な少女グエナン(勝気)と兄である美男のベビル(ハリエットの初恋)
 
ハリエットは、父の再婚・父の急死といった事にまきこまれながらも、ベビルと結婚する。
しかし、彼は自分の財産が目当てだったのでは、女性にもてるベビルに愛人がいるのではないかと、疑惑にさいなまれる。
メンフレイ一族が急死する時に止まるといわれ、100年間動いていた時計が止まる。おりしも、ハリエットの命が狙われる事件が・・・・
 
最後は、夫の愛情を確認し、コーンウォールの自然の中、メンフレイヤ館は美しく佇む。
====================
 
ホルト名義 4作目らしく。
いやぁ~、ゴシック・ロマンスの王道でいいなぁ~と思いました。(抄訳の力かも)
今回、気が付いた点を補足。
 
・ハリエットの父は妻をとても愛していたが、ハリエットを生んで亡くなったので、妻を奪ったハリエットを許せなかった。で、たぶんハリエットは母親に似ていない。(美人ではない)
→そんなハリエットの父が女優(ハリエットより6歳年上)と結婚して、すっかり明るくなる
→世間的には??かもしれないけど、父親が長生きしていたら、ハリエットも父親と仲良くなれたのかも。
  
・ハリエットの家は、祖父がお金を儲けて、父が議員になって、だんだんと出世していく家。
対するメンフレイは、代々コーンウォールの名家、ただし、気性が荒い。「無法者」と言われる一族で、金遣いも荒いし、女性問題も多い。
 
今は、ベビルの父(若い時ハンサム)は、金物の相続人である女性をさらって妻にした。(彼女も彼がハンサムなので逃げなかった?)といわれている。
両家では、ベビルとハリエットを結婚させて、政治家にしてという親同士の約束(正式ではない)ができていた。
 
ハリエットは、プロポーズされると思った時、ドレスを着替えるのに5分手間取り、プロポーズを逃す。その5分が自分の運命を大きく変える事になるとは・・・と後々まで思う。
 
継母(ジェニーだったかな)が、事故死(皮膚をきれいにみせるためにヒ素を飲んで、分量を間違える→もしかして、乳母が、彼女が死ねば、ジェニーと一緒の館にいられると思って殺したのか?単なる事故なのか)
 
継母が亡くなった事によって、信託になっていた財産がすべてハリエットもものになるので、ハリエットは、結婚が決まった後、彼はお金がない私でも結婚してくれたのだろうかと悩むんですが。
 
→通常、信託財産になっていてもハリエットが結婚すれば財産はハリエットのものだから、ここは、(ミステリの観点からすると、ヘン)
ハリエットは、自分たちの結婚が親が望んでいた結婚と知って、ちょっと残念に思う。
  
 
まあ、ベビルは美男で、女性にはみんな親切にしちゃうんで(政治家目指しているし)、ハリエットはやきもきするだけど、嫉妬したのは村の医者の娘(父親が死んでお金がなくてロンドンで家庭教師やってた)ジェシカ(ものすごい美人)→メンフレイ家の先祖(代々女性に弱い)が家庭教師を愛人にして・・・という伝説があったので、余計に気にしてしまう。
 
・ハリエットは父に気にしてもらいたくて(父は議員)、政治の勉強をする頭の良い「政治家の妻」として立派な女性だから、べビルと結婚してお似合いなわけで→彼の周囲にいる唯一頭の良い女性かも。そこが気にいったんだろうなと。
 
・ジェシカはお金持ちのベビルも狙ったんだろうけど、彼には本命のハリエットがいるから、(グエナンに結婚式直前で逃げられたハリー(お金持ち)が復讐のためにジェシカと手を組み→ジェシカはハリーと結婚するために「戦い」(ベビルをスパイしたり、ハリエットにわざと嫉妬させたり)
→ハリエットもラストでは(お互い妊娠してて)、ジェシカは彼女なりの戦いをしたのだと、許してました。
・乳母のファニーは、夫のビリーが船で死んで、赤ん坊もすぐに死んで。
ハリエットが行きがいだったのに、だんだんとおかしくなって、結局、ハリエットにベビルの浮気疑惑を植え付けたのも、ファニーで
可愛いお嬢様を、いきなり死なせては悪いから、時計をとめたり、いろんな事をして「予告する」というファニーなりの愛情だったりでした。
 
リーダーズダイジェスト版は、挿絵も昔風で 好感がもてて、ああ、子供の頃に読んだら本当にわくわくしたろうなという名作と思いました。 
残念な事に挿絵画家の名前がなかったです。
 
この作品の良いところは、ベビルが、よくあるような「傲慢・冷酷」と評されるタイプではないこと。
名家(お金ないけど)の坊ちゃんで、ハンサムで、女性に弱いところはあるけど、政治家になろう、親を失ったハリエットを守ろう(継母が不審死をとげたので、叔母がスキャンダルをきらってハリエットをどこかにやろうとした時に、ベビルと母が来て、彼女をメンフレイヤ館に静養という事でつれて行ってくれた。)
ハリエットにまだプロポーズの返事もらってなかったかな(イエスだよね)みたいに、彼女の愛情を疑っていない。彼女がジェシカとの事を誤解している事も気が付かない。
おぼっちゃんなんです。なかなか、他の作品には無いタイプなんで、良かったです。

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「七人目の乙女の伝説」 ビクトリア・ホルト 再読による補足

「七人目の乙女の伝説」

過去の記事では、ホルトっぽくない(主人公が、悪女(?)だし、ハッピーエンドじゃないので、残念と書いてましたが、再読して、「狩猟月のころ」で悪人側のエピソードが欲しかったと思った→この話はある意味、それだと気が付きました。
 
読み返すと、けっこう面白い。新しい視点。
■前提:伝説
村の「七人の乙女」の伝説がある。
修道院の修道女(1名)と、見習い(6名)が、純潔を捨てたために追い出され、6人の乙女は石に替えられた。修道女は罰として、セント・ラーストン家のアッバス館の人柱になった。(館の改修の時に、壁に空洞があって、工事をしたルーベンはそこに女の姿を見て、おかしくなった。人骨は出た)
 
■大枠
主人公:ケランサはスペインの血を引く、異国風の美人。ものすごーくプライドが高い。
村の魔女的存在の祖母:グラン・ビーと弟のジョーと暮らしています。
初恋のキムはオーストラリアに働きに行ってしまい。
ケランサは、幼なじみのメリオラ(優しい主人公タイプ)と一緒にアッバス屋敷の使用人となる。
長男:ジャスティスは親が決めた相手:ジュディスと結婚(持参金が必要だった)したが、不仲。ジャスティンは彼に子供の頃からあこがれていたメリオラと愛し合うようになる。
 
ケランサは次男と結婚して、跡継ぎを生み。屋敷を手に入れたと思っていた。
ジュディスが事故死し、ジャスティンとメリオラは世間の噂を恐れて、別れ、ジャスティンは遠くの修道院に。
 
ケランサの夫が失踪。(実は死亡)
そんな中、初恋の幼なじみ:キムが金持ちになって帰ってくる。
ケランサはキムが自分を愛しているはずと思っていたが、実は、キムはメリオラをずっと愛していた。
欲しいものはなんでも手に入れて来たケランサが、初めて、(屋敷より愛した)ものを失った。
ケランサは、いっそ石になりたいと思いつつ十年も過ごすが、命を狙われたことをきっかけに自分の人生をみつめなおし、いつか自分も愛してくれる人と出会えるに違いないと思う。
 
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初恋のキムが帰国してから、ケランサはキムと結婚するために頑張るんですよね。
 
まず、夫(村娘:ヘッティを妊娠させて、死なせた(殺した?)ためにヘッティの婚約者に殺された)の死体を見つけさせなくてはならないが、夫が人殺しと疑われては困る。
巧妙に噂をまいて、夫とヘッティが嫉妬に狂ったヘッティの婚約者に殺された事にする。
 
屋敷を買い取りたいというキムに、彼は屋敷を買ってから、私にプロポーズすると思い込む。→結構、それまだ色々と立ち回ってきたのに、キムとの事だと、全然ぬかっている。
ケランサはあんな夫でも屋敷を手に入れる事ができたから、結婚に満足していたはずだったけど、キムに再会したら、屋敷よりも彼の心が欲しかった。
→この再会でやっと、人間らしい?気持ちになったのかも。
 
メリオラに、あなたとジャスティンを結婚させないために、事故の原因を黙ったいたの、と告白して(ケランサの子供のおもちゃが階段に転がっていて、ジュディスはそれで滑って事故死、息子に伯母殺しの汚名を着せない&ジャスティとメリオラが再婚して、跡継ぎができないように黙っていた)
 →メリオラに、結果としてキムとの幸せが結婚があるから、良かったといわれて、衝撃。
で、キムと話すと子供の頃のメリオラの優しさ・勇気を知って、ずっと彼女が好きだったと聞かされてショック。
 
ケランサの祖母は、未亡人になった彼女に、キムがふさわしいから幸せな結婚をすればいいといいますが(いや、ケランサはキムにふさわしくないだろうと突っ込みました)
 
ずっと彼女を(たぶん)好きで、手紙をくれている牧師さんには、返事も出していない→ラスト近くで彼の話がでるから、もしかすると、ケランサにもハッピーエンドがあるのかも。
 
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■気が付いたこと
ケランサは珍しく、労働者階級出身。もっとも、努力で、「貴族の奥様」としてのふるまいを身に着ける。
メリオラは普通ならば主人公タイプなんだけど、「芯は強いけど、勝気ではない」
→その善良さが最後には幸せをつかむのですが。
 
ケランサの祖母はかつて領主であった  に目をつけられ、夫の職場を奪われないために関係を持って、子供ができて始末した過去がある。
夫のペドロを心底愛していたから、彼のためにした事。
ケランサには、 その復讐の気持ちがかすかにあったような気がします。
 
・ケランサはの人生は、、ある意味勘違い(偶然?)の連続でした。
・夫のジョニーはケランサに夢中になって、駆け落ち結婚してのではなかった。
・弟のジョンは医者にならずに、獣医になって(村の娘と幸せに結婚)→息子もジョンになついて、獣医になろうと思っている。
・初恋のキムは、自分ではなく、ずっとメリオラが好きだった。
(メリオラ曰く、ジャスティンは冷たいところがある(彼はきっと愛情とかが苦手なんだろうな、結婚している時にメリオラを愛していると思ったのは、妻と比べて、メリオラが大人しくて優しかったから)
本当に愛し合っていたなら、ジュディスの死にまつわる周囲の疑惑を乗り越えて結婚したとメリオラはいました。
 
・ケランサが命を狙われる原因は
 夫のジョニーは妊娠させた村の娘ヘッティを、死なせてしまった。(鉱山に死体が)
 ヘッティの兄:ルーベンは、昔、屋敷の工事をして、壁に塗り込められた修道女(幻覚?)を見てから、おかしくなった。
・ヘッティの死体が鉱山にあった→ジョニーが殺した→ヘッティは(結婚前に妊娠して罰を受けた)→ジョニーはヘッティと結婚するはずだったのに、ケランサが横取りした。→ケランサも罰をうけて、壁に塗り込められるべき・・・
 
 
・メリオラとキムの結婚から十年、ケランサが自分も石になりたい・・と思いながら、毎日、乙女の石のある敷地を通って屋敷に行くのって、拷問だな。
とか、話としても、ここで、十年たたせなくてもいいんじゃない?
とか、ケランサが(主人公である以上)改心するシーンが、命狙われている恐怖、今まで自分は・・・生きていて、自然は美しい・・・
とかなんですが、石になってしまいたいっていうところからの大転換が、なんか唐突で、そこが残念でした。
 
 

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「流砂」ビクトリア・ホルト 再読による補足 

「流砂」 角川文庫 1971年
THE SHIVERING SANDS 1970
 
過去の記事であらすじは紹介しています。
(過去のあらすじの間違いですが、キャロラインとナピアが出会うのは、ナピアの結婚後。→ナピアの感じからだと、もし結婚前に出会っていたら、キャロラインを追いかける、普通のゴシック・ロマンスになってしまったでしょう。
再読した結果ですが、主人公:キャロラインは「守ってあげたいタイプ」が好きだったのでした。
   
■今回気が付いた事。
 
キャロラインは最初の結婚(天才ピアニスト:ピエトロ)について、自分が芸術を諦めたと、何度も言っています。
天才である彼に、自分はピアノを弾くことができるが、天才:芸術家ではないという事はわかっていて、自分はピエトロのために、自分の道を諦めた。(納得はしたはずだけど)
ピエトロは本当に天才で、(若死に)自分は彼のために尽くした。
でも、自分は芸術をあきらめて・・・・
ピエトロの亡霊につきまとている(→それも薄れていくのですが)
 
亡くなった伯爵夫人が、ピアノが大好きだったのに、伯爵から先生について練習するのを禁じられて夫のためだけに弾いた(内気なので、内輪の集まりでは弾いたけど、演奏会はする事はなかった)と聞いて、伯爵夫人は芸術を諦めた→と伯爵夫人への同情が・・・
 
この芸術への執着で思ったのは。
・キャロラインは「うまいピアニスト」で、ピエトロは天才だった&ピエトロは性格に問題があったけど、お互い愛し合っていた→分からないではないが、キャロラインが「芸術を諦めた」というのは、言い過ぎじゃ?
 
・伯爵夫人が「芸術を諦めさせられた」→夫人への同情→伯爵(この家に対し)、姉:ローマの失踪の謎を解明してやるという気持ちに火をつけたんじゃ
などと、キャロラインにちょっと、不自然さを感じてしまいました。
 
あと、馬の後ろを通ろうとして、ナピアに怒られて、反論して→馬の後ろ通らないのは、あたりまえじゃ?
とか、考古学者夫婦の両親が長女に「ローマ」と名付けたのはともかく、妹:キャロライン→えーと、アッピアとかにすればよいのに、キャロラインが変わった名前だと、話が成立しないんだけど、とか思いました。
 
※ナピア
出来の良すぎる兄:ボウをもって(尊敬していた)、事故で兄を死なせちゃった。
最初の頃は、ナピアがジプシーの娘との間に子供ができた事を悩んだりしての自殺か?とも思ったんですが、ナピアはボウは子供の事を知ったらちゃんと面倒を見たはずと言っているので、事故だったんだろう
→部屋に入っていたら銃で遊んでいて(早打ちごっご?)ボウが撃たれて「ナピアのせいじゃないんだ」っていう話より、
二人で狩りに行って、銃が暴発したってほうが、ずっとスマートだと思います。
そこが、すごくこの作品に、不必要な???を抱かせてしまう欠点だと思います。
 
母である伯爵夫人が世間的にはボウが死んだので、自殺。実は、息子の死に加え、夫の浮気が止めだった→伯爵は自分のせいではなく、「ナピアのせい」にして、ナピアをオーストラリアにやって→でも、伯爵は跡継ぎ(孫)が必要だから、ナピアを呼び戻し、自分が後見している大人しい(財産もある)エディスと結婚させる。
 
ナピアは館(ラバット・ミル)と土地(海沿いに建つ館:ちなみに、いつか海に侵食されてしまうかもな館)が忘れられず、いろんな事があるのに戻って来た。
妻であるエディスに恋人がいたのも分かっていたが、結婚以外に選択肢はなく。(キャロラインにも会っていないし)
 
で、エディスを「強い女性」に育てようとして(結局、イジメてるとしか思えない)→自己嫌悪。
エディスが恋人:牧師補:ジェレミイと駆け落ちしたと思い込んだ時は、ナピアはこれで離婚して、キャロラインと結婚できると密かに思っていて、キャロラインが新任の牧師補:ゴッドフリー・ウィルモットと親しくなって行くと、早まって婚約とかしないで云々といった反応、(ホルトの他の男性とちがって強引ではなく)
  
疑問なのは、あんな大人しいエディスと牧師補で、密通して子供ができていたのか?
→結婚していたんだから、ナピアの可能性はないのか?
 ナピアがエディスの失踪に、のほほんとしているんで、ちょっと、いったいどうよ、こいつと思いました。
 
ナピアはキャロラインの「自分を与える愛」:自分のキャリアを捨ててでもピエトロを愛した。兄を殺したというナピアに、あれは事故だといってくれるキャロラインに惹かれ、彼女と人生をやり直したいとおもった。
 
 
※キャロライン(シビルの予言)
伯爵の妹:シビル(昔、貧乏な恋人:ハリーがいて、伯爵がお金を出してくれなかったために、彼は他の女性と結婚)伯爵がお金を出してくれれば、彼の借金は払えたし、駆け落ちでもしたいたら幸せだったのにに(ハリーは今も私をだましてくれていたろう、というセリフが印象的)が、キャロラインの二つの未来の絵を描く。
 
一つは世慣れたキャロライン:ゴッドフリーと結婚して、賢夫人として夫を成功させて、子供にも恵まれたキャロライン
 
もう一つは、歓喜の表情を浮かべた美しいキャロライン。(ナピアを選んだ場合、やがていつかは(今ではない)満ち足りる)
シビルが、過去の選択(ピエトロ)は賢明だったのかしら?自分の芸術を捨てて?でも、二度目のチャンスが与えられたんだから、堅実な道を選ぶわよねとシビルに言われる。
 
※キャロランの選択
結局、彼女は、ピエトロを守ったように、周囲から殺人者と思われているナピアを守りたい。彼女の愛し方は「守る愛」
頭はゴッドフリーとの結婚を進めるが、心は、悪夢と戦う(ナピアを守る)生活を選ぶ。
 
ナピアは「君は(ゴッドフリーとの結婚)しない。君は馬鹿になるつもりだめ、みんなが君を愚か者だというだろう」
「みんなではなくてよ」私の心はいつも勝つのだ。
 
そうか、この話が何か他と違うと思ったのは、
ローマの遺跡、海の雰囲気満載の館の印象と、珍しく(?)入り組んだミステリー部分だけではなく、主人公が、「この人を守るのは私しかいない」タイプだったという事。
そうか、結局、ピエトロから別なピエトロを選んだんだ。
 
と、納得できました。
 
 

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「狩猟月のころ」ビクトリア・ホルト (ネタバレあり) その2

学校→となりにある領主館に住んでいるジェイソンに一目ぼれされて(って、一体?)、ストーカーのように付きまとわれる。相手は、学校の大家だし、姪が二人も入学している。

ジェイソンが彼女に惹かれた理由が、彼女が彼の行動に対して、怒ったり反発したり、意思があるからだと思うんだけれど、(寝たきりだった妻が死んだばかり)男の子を生んでくれとか、(ちなみに愛人?とか言われる女性に女の子がいる(彼の子かは不明だが、面倒はみている。)君は俺を欲しているだとか、力ずくで、コーデリア逃げようと、ガラスを突き破ってケガする。君はそこまで俺が嫌いなのか、という割には、その後もひたすら追いかける。
正直、やめとけと思いました。

学校では、テレサという生徒にとてもなつかれる。
ジェイソンの姪フィオーナは大人しいが、ユージニー(勝気)には嫌われた。
ジェイソンの愛人が姿を消した(ロンドンの舞台に戻った)時、ユージニーはコーデリアに「おまえが殺した」といやがらせの手紙を出したり、テレサは、ジェイソンが愛人を殺した証拠があるとウソついたり。

そんなある日、スイスの学校でメイドだったエルザがメイドとして来る。(エルザびっくり→ここで計画変更するべきだったのに)エルザは、前の時と同じように、「未来の夫に会える」と生徒に吹き込んで、計画をすすめる。→フィオーナがカールと名乗る「彼」と駆け落ちしちゃう。

並行して、コーデリアは、スイスでの学友のリディアの兄:ジョンの訪問を受ける。
リディアは結婚していたが、スキーの事故で亡くなった。
結婚の事もしらなくて、別な同級生に話を聞く。リディアの夫は、「狩猟月にあった「彼」」(コーデリアがうまくいかないと、リディアに乗り換えた)だから、リディアはきっと、コーデリアに言わなかったのよ。
ジョンは紳士で、きっとコーデリアが好き。(ジェイソンは、あんな退屈な男じゃなくて、俺だろといったりする。あ、姪の命が危険と知る前ね)
テレサはジョンに夢中になり(のちに結婚)
 
リディアの夫の名前はマーク。
コーデリアはジョンにエドワードと思っていた人間はリディアの夫でもあり・・・と話して、エドワード・コンプトンを手掛かりに、調査を始める。
コンプトン家が火事で全員死んだのは間違いないが、使用人だったダウリング兄妹が、どうも「彼」と「エルザ」だという結論に至る。
フィオーナの命が危ない。(エルザは、フィオーナの財産を増やすために、ユージニーを毒殺しようとして(病気にして)いる)
そっからは話は早くて、エルザと兄との手紙(もう財産は半分でいいから、今回の件を片付けて引退しようぜ)を手掛かりに、ジェイソンはスイスにフィオーナを探しに行く。
 
で、ジェイソンが大けがをしたという知らせが→コーデリアかけつける。
ジェイソンは「彼」がフィオーナを殺そうとするのを阻止して二人で転落「彼」は死亡。ジェイソンは大けが。
コーデリアは、自分にはあなたしかいない。あなたとケンカするのも楽しかった、あなたを求めていたと→めでたしめでたし。
エルザは捕まった後、「手記」を書いた。
ジェイソンは杖をついて歩くようになるが、二人には息子も生まれたし、ジェイソンの愛人(?)も生きていて、旦那とよりを戻していたし、めでたしめでだし
で終わります。
 
犯人が、コーデリアの家に金がない場合のプランBを考えていなかったとか、コーデリアがいるとわかった時点で、計画を止めなかったとか、ミステリとしては、「ありえないだろう」多々ありました。
ご愛敬ですが。
「未来の夫」→複数の生徒に一遍に会う(まあ、一人きりにならないけど)→リスキーだなぁと思いました。
この本は上下なんですが(分けるほどではない長さですが)
そのために、今、片方が手に入れにくい状態になっているようです。
1冊にしていれば、こんなことにならなかったのに、ちょっと残念です。

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ビクトリア・ホルト

ふと再読しようとしたら、ものすごく入手が難しくなっていたので、かなり紹介しようと思うようになりました。

ミステリマガジンの今年(去年)ベストテンの紹介文に、「メアリー・スチュアートの作品が出るなら、ヴィクトリア・ホルトも出したほしい」というのがあったので、色々と読み返す予定です。

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ホルトの若書き「琥珀色の瞳の家庭教師」

ホルト「琥珀色の瞳の家庭教師」を読みました。
過去に、「メリン屋敷の怪」の記事を書いてます。
リーダーズダイジェストは抄訳のはずなんですが、今回読んでもそこまで差異はなかったので、リーダーズダイジェスト版結構○だったことが分かりました。

基本はゴシック・ロマンスなんです。なので、タイトルが「琥珀色の瞳・・・・」に変わったのはちょっと不満です。主人公の瞳の色については、彼女が、家庭教師先に行く時に、明るい光の中では琥珀色に見える瞳・・・とシーン以外には、彼女に惹かれている青年が「琥珀色の瞳」と言うセリフがあったくらいで、このタイトルに必然性が・・・・とも思いました。

ヒストリカル・ロマンス系としての出版なので、仕方ないかも。
ちなみに、ちょっと不満だったのは、「スキント」という言葉が出てきたんですが、説明がなかった気がしました。
建築用語だったことは分かったんですが。調べたら。
「キリスト教教会の身廊と翼廊の間の壁にあけられた窓で、翼廊側の人が身廊の中央祭壇を見ることができるようにしたもの」でした。
もしかしたら、どこかに説明があったのかもしれないんですが・・・ちょっとだけ・・

内容としては、やっぱり若書きだなぁ。
主人公は、館の主人にストレートに恋してしまって。

後の作品はもうちょっと主人公が頑張ったりするんだけど。

これを契機にもっとホルトが出版されると良いと思います。

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恐ろしきブランド「領主館の花嫁たち」

クリスチアナ・ブランドの「領主館の花嫁たち」を読みました。
家庭教師が双子のいるお屋敷にやってくるところからはじまるんですが、あとの方になって、なで「花嫁たち」なのかが分かります。

「暗い」→ブランド特有の「ど~ん」とした暗さが根底をながれています。
400年前に、この館のヒルボーン家の娘に失恋し、自殺したリチャード(ディコン)、その姉レノーラ。
家庭教師(テティ)、教え子の二人(クリスティーンとリネス)。

物語は、現代(といっても本の中)、若い娘が婚約者に、家にまつわる伝説を話すところからはじまります。
でも、そんなことはすぐに忘れて、「過去」の話に引き込まれるんですが。

この話は、ゴシック・ロマンスなのか?まあ「館」がかなり重要(といっても、あまり、「館」の印象がないんですが)なので、ゴシック・ロマンスと言えると思いますが、殆どホラー。
(いや、この二つの厳密は定義って?)

ゴシック・ロマンスには、ラストにはおそらく「お決まり」があると思って読むのですが、ここでは、ブランドならではの物語が展開されるわけです。

さすがだけど、なにもそこまでとも思わせる作品です。

ネタバレ感想(一言)

★ 「花嫁」が「彼」に恋して「闇をさまよう」のであればある意味、読み手としてはすくわれるんだけど・・・       ★

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ヴィクトリア・ホルト新刊!

ミステリマガジンを読んでいたら、去年、ヴィクトリア・ホルトの新刊(正確には、過去にリーダーズダイジェスト版で出た)が出たことを知りました。

旧「メリン邸の怪」(のはず)→「琥珀色の瞳の家庭教師」(いや、まぁ、そういうタイトルですか)いや、復権はうれしい限りです。
もうこのさい、ロマンスものとしてばんばん出版してほしいです。
ただし、最近のロマンス系(→以前、ホルト「霧の中の恋人」が出たときに、ちょっとシリーズの他の作家を呼んでみた。)から考えると、ホルトの作品の登場人物は、とっても、淑女たちなので、受けないかもしれない・・・・

個人的には、ホルトの翻訳作品は読了しているつもりですが、抄訳が多いので、ちゃんと読みたい&新しいの読みたい気持ちです。

ちなみに、ホルトの最高傑作は「流砂」といわれていますが、わたしは「女王館の秘密」だと思っています。
理由:「流砂」は、おそらく・・・だろうと推測はつくんですが、過去の事件がきちんと説明されていない。伏線がうまく生かされていないところがある。
ヒロインは、「惚れられる」タイプなので、そこから「惚れる」という過程がまだるっこしい。(通常の手順ですが)


「女王館・・」ヒロインが自分の生き方をしっかり考えている。自分から好きになる。(行動は別)伏線がきっちり生かされている。主人公以外の登場人物も造形が良い。
なので、過去に角川から出ていたホルト「愛の三部作」(勝手に命名)「流砂」「女王館の秘密」「愛の輪舞」)では、一番だと思っています。

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