おそらく復刊されないであろうミステリを紹介したいと思います。ネタバレ部分は★にしてあります。
「吸い殻とパナマ帽」OPEN VERDICT(評決の手前でまだ謎がのこされている状態のこと) 1956 この作品の探偵役はジミー・ワグホーン警部(最後の方にプリーストリ博士が警部の友人として出てきます)
事件はダンスタブルという工場の運転手が道で死体(殴られた形跡あり)となって発見されます。彼がすっていない煙草の吸い殻が落ちている&彼のかぶっていたパナマ帽が見あたらないという事件が。
ダンスタブルには娘(ジェニファー)がいた。彼女は、おさななじみの青年(マックス)としたしくしていたが、金持ちの青年:ケネスにいいよられ(工場主ロジャーの養子)秘かに婚約して。が、ケネスが養父の身内の娘と婚約したため婚約解消していた。
パナマ帽がケネスの家の近所でみつかったこともあり、ケネスに容疑がかかる。
殺されたダンスタブルはゆすりをしていたことがわかる。
ケネスは、工場主ロジャーの養子(ロジャーは子供の頃、弟妹にバカにされていたため身内に恨みがあり、孤児を養子した)で、養父母の前では「よい子」を演じていたが、実は金遣いが荒く、女性問題も起こしていた。
養父の身内の女性と婚約することで、すべては丸く収まるはずだったが、どうも、ダンスタブルに婚約解消のことでゆすられていたらしい。
周囲は、ケネスが犯人ではないかと思う。
ここで、びっくりな事件。ロジャーの家でケネスの婚約発表パーティがあり、一族が和解のために集まる→爆発がおこり、ケネスが死んでしまう。
容疑者&相続人のケネスの死。二つは別々の事件なのか?
さて、ネタバレ
★ ダンスタブルの事件の犯人は、もと娘の恋人:マックス。(事故)。娘が金持ちに振られたので、マックスに娘と結婚しないかと持ちかける→マックスに別の恋人ができているとしると、マックスが喧嘩で人をケガさせたことがあると相手の家にいいつける。イヤなら金を払えといい、マックスは怒ってなぐる→ダンスタブルの心臓が悪いので死んでしまった。
パナマ帽は、マックスが容疑をそらすため帽子を捨てた。
爆破事件の方は、犯人は工場主のロジャー:養子ケネスが殺人犯であると思ったロジャーは、妻を悲しませたくないと、ケネスを殺した。(ケネスはそれ以外にも、家に伝わる指輪を質入れするなど期待を裏切っていた)
ケネスが犯人でないと知ったロジャーは気が狂ってしまう。自分がやったことも忘れて、ケネスはいま出かけていると思っている。事件を立証することはできない。ロジャーの妻はケネスが死んだあともケネスはよい子だと信じていた。(夫の犯行だとも知らない様子)
最後のエピソードとして、ダンスタブルの娘:ジェニファーは、自分の父がゆすりであり、マックスは怒ってなぐっただけ。彼の罪ではないと、(ケネスのような男とはちがうと)マックスが刑務所からでてきたら、結婚を申し込むという話になっています。
ケネスはどうしようもない男だけど、殺人は犯していなかった。
妻にケネスの正体を知らせるくらいなら(殺人犯だとも思っていた)、と、ケネスを殺したロジャー。犯人が二人いるパターンのミステリではあるんですが、その動機が「家族愛」。
ロジャーは子供の時に家庭の愛に恵まれなくて、学校の親友ができて自信がもてるようになった(その親友の妹と結婚)。で、養子が夢のすべてでした。
もろかったロジャーと、父を殺されても、ゆすりの結果のお金でカフェを運営して、マックスの出所を待つジェニファーの強さが対象的でした。 ★
唐突感は否めないですが、それなりに楽しめました。
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